2010年9月23日木曜日

Sarcopenic Obesityとメタボ

Sarcopenic Obesityは、サルコペニア(骨格筋減少症)と肥満を合併したものです。運動不足で食事量が多い方や、侵襲下で過量のエネルギー投与を行われた患者に認めることがあります。

前者は知識労働者(このブログを見ている方のほとんどはそうだと思います)で自動車通勤で定期的な運動をしていない人は要注意だと思います。Sarcopenic Obesityに限りませんが、治療より予防のほうが重要ですので、心当たりのある方は今からレジスタンストレーニングを開始することをお勧めします。

後者は侵襲下で適切な栄養管理をすれば脂肪の蓄積を防げます。しかし、高度の侵襲だからと安易にストレス係数を高くして過量のエネルギーを投与すると、体重減少は防げますが筋肉量の維持はできず脂肪で増えるので、Sarcopenic Obesityとなります。医原性Sarcopenic Obesityと言えるかもしれませんが、現状ではあまり認識されていない気がします。

いずれにしても筋肉量を増やしつつ体重減少を目指さなければいけないので、適切な運動療法と食事療法の併用が必須となります。運動療法はレジスタンストレーニングと有酸素運動の併用が必要です。食事療法は低エネルギー・高蛋白食が基本になると思います。併存疾患により限度はありますが。

メタボ健診ではSarcopenic Obesityの方もひっかかると思います。ただ、単なるObesityの方とSarcopenic Obesityの方との区別はされていないはずです。同じメタボでもサルコペニアを合併しているかどうかで指導内容が異なってくるはずですが、そのようにされているのでしょうか。

特にSarcopenic Obesityの方に生活指導して体重が減少したとしても、脂肪が減少したのではなく筋肉量が減少したのであれば、むしろ減量しないほうが望ましい可能性があります。一方、体重が増えたとしても脂肪で増えたのではなく筋肉量が増えたのであれば、むしろ適切な可能性があります。体重は最も重要な栄養指標ではありますが、その限界も認識しつつ活用したほうがよいと考えます。

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