今日は、山田昌弘編著、「婚活」現象の社会学、東洋経済新報社を紹介します。
http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/e33edeaba0af331a77c2efc3b6399ae4/
なぜ「婚活」かというと、結婚相手の選択とキャリアで登る山の選択は人生の2大選択なので、FD的に参考になることがあるのではと感じたからです。恋愛相手や職業の選択も大きな選択かもしれませんが、結婚相手やキャリア登山に比べれば、比較的やり直しがしやすいと思います。まあ、結婚相手とキャリア登山もやり直しはできますし、やり直す方が増えてきている印象もありますが…。
「前近代社会は、人生における選択肢がほとんどない社会であった。しかい、近代社会は、職業や配偶者などを自分で選択しなければいけない社会となった。つまり、人生をプロデュースしなければならない時代なのである。そして、近代社会の展開とともに、様々な領域で選択肢が増え、それとともに、ある人生の目的を達成するためには、自分で積極的に活動しなければならない領域が増えてくる」と33ページにあります。
ここでは職業も紹介されていますが、現在は結婚相手もキャリア登山も選択肢が沢山あり、ある意味選び放題です。今より選択肢の少なかった昭和時代よりも現在のほうが、基本的には恵まれた社会だと思います。しかし、選択肢が沢山あることで、その中からたった1つを選択するということが現在は難しくなっています。
私の周りには同年代で素敵な男性や女性がいますが、独身の方が少なくありません。個人的な紹介はしませんよ、念のため(笑)。同様に優秀な医療人も少なくありませんが、キャリアで登る山を決め切れていない方が少なくありません。職種を決めること=キャリアで登る山を決めること、ではありません。1人前への道と1流への道は別物です。
その原因の1つに、自分の人生を自分でプロデュースしなければならない時代になったことを学校で教えてくれないことがあるかもしれません。学校教育は今でも前近代社会的なままであり、批判的に考える力を持たないよう、社会や国に反抗しないよう、おとなしい学生を大量生産することに力を入れていると感じます。そうすると自己プロデュース能力などを学校で教えるわけがありません。
その結果、結婚相手やキャリアで登る山を選択できない、そもそも自分で積極的に活動して選択しなければいけないことを知らない方が多い可能性があります。婚活に関してはブームになって様々なサポート体制ができつつありますが、キャリア登山に関してはそのようなサポートはほとんどありません。ハローワークに行ってもこの点では役に立ちませんし…。微力ながら医療人のキャリア登山の重要性を伝え続けたいと思います。
目次
序――「婚活」現象の広がりの中で
第1章 「婚活」現象の裏側
第2章 若者の交際と結婚活動の実態
――全国調査からの分析
第3章 結婚仲人の語りから見た「婚活」
第4章 自治体による結婚支援事業の実態
――そのメリットとデメリット
第5章 婚活ブームの二つの波
――ロマンティック・ラブの終焉
第6章 誤解された「婚活」――婚活ブームを検証する
第7章 アメリカ社会から見た現代日本の「婚活」
終 章 積み過ぎた結婚――日本の結婚の今後
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