がんの症状管理に関するレビュー論文を紹介します。
LAURA K. SHOEMAKER, BASSAM ESTFAN, RAGHAVA INDURU, T. DECLAN WALSH. Symptom management: An important part of cancer care. doi: 10.3949/ccjm.78a.10053 Cleveland Clinic Journal of Medicine January 2011 vol. 78 1 25-34
下記のHPで全文見れます。
http://ccjm.org/content/78/1/25.full#sec-6
この中で食思不振に関する部分だけ紹介します。食思不振は進行がん患者の約66%に認めます。その他、吐き気60%、口腔乾燥57%、便秘52%、早期満腹感51%、嘔吐30%と食事に関する症状はよく認めます。これらの症状の一部は治療で改善することができるので、症状管理が重要となります。
食思不振のうち、改善できる要因として、胃炎、便秘、コントロール不十分の著明な痛みや呼吸困難、せん妄、吐き気・嘔吐、うつ、Gastroparesis(消化管運動障害)があります。これらが食思不振の原因となっている場合には、診断・治療が重要となります。特にうつの合併は少なくないと思います。
栄養指導(経口摂取の範囲で)、運動指導(低負荷の範囲で。食思が運動で改善すればベスト)はもちろん行います。ただ、経管栄養、経静脈栄養に関してはターミナルの場合、基本的に推奨されていません。消化管閉塞や短腸症候群などの場合は別ですが。
また、薬物療法としてステロイドが紹介されています(他に酢酸メゲステロールと治療用大麻も紹介されていますが、日本での使用は困難だと思います)。食思不振の患者に少量ステロイドを試す価値は十分あると私は思いますが、3-5日で効果がみられない場合には中止すべきとあります。
進行がんや慢性臓器不全の患者に食思不振があると「仕方ない」と考えがちですが、食思不振の原因をよく考えて、改善できるものは、薬物療法(ステロイドやEPAなど)改善を目指すアプローチがリハ栄養では重要だと思います。
Abstract
Physicians can do a better job of palliating symptoms and improving the quality of life of cancer patients if they understand the principles of symptom management. We review the general principles of symptom management for fatigue, anorexia, constipation, dyspnea, nausea, and vomiting.
Key points
Patients with advanced cancer typically suffer from multiple concurrent symptoms, which they rate as moderate or severe.
The principles of symptom management include taking an aggressive detailed approach, prioritizing, and identifying symptom pathophysiology.
Prescribed regimens should be specific and simple; physicians should consider the patient’s age and fragility, the cost of the treatment, and anticipated drug side effects.
To ensure optimal palliation with the fewest possible adverse effects, reassess frequently, make one change at a time, and use rescue doses.
2011年1月8日土曜日
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あなたは本当に言葉の方法がある。情報を提供し、私はそれに関連することができるの素晴らしいスタイル。私にとってこのような素晴らしい情報。このために感謝。
返信削除jwh-122
jwh-122さん、コメントどうもありがとうございます。今後も積極的に情報発信していきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
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