対馬栄輝著、医療系研究論文の読み方・まとめ方―論文のPECOから正しい統計的判断まで、東京図書を紹介します。
http://www.tokyo-tosho.co.jp/kikan/01/index.html
タイトルの通り、この書籍は臨床研究を行うためではなく、原著論文をきちんと読めるようになるための知識がコンパクトに詰まっています。原著論文をあまり読む機会のない初心者から初級者向けの比較的わかりやすい書籍だと思います。抄読会で定期的に論文を読んで内容をディスカッションしている方であれば、新しい発見は少ないかもしれません。
著者がPTですので、特にPT、OTにはとっつきやすい書籍だと感じました。統計的判断をわかりやすく学べる書籍はなかなかありませんが、統計的判断の基本から学習したい方には、一読の価値があると思います。
目次
序 言
第1章 論文のPECOを読む
§1.1 研究論文とは
§1.2 論文の構成をどうするか
§1.3 論文を読める基準とは
§1.4 論文を読んでみる
§1.5 「論文を読んでも問題解決できない」ときには
§1.6 論文のPECOを把握する
1 P:Patient(患者[対象])とは
2 E:Exposure(暴露,介入)とは
3 C:Comparisonとは
4 O:Outcomeとは
5 注意点
§1.7 PECOによる要約を,くり返す
§1.8 PECOの実践例
1 論文の検索
2 論文が見つかったら
3 PECOの実践
§1.9 PECOの要約を練習してみる
§1.10 第1章のまとめ
第2章 研究デザインを読む
§2.1 研究デザインとは
§2.2 研究デザインの分類と解説
1 時間要因による分類
2 割り付けによる分類
3 介入による分類
4 エビデンスレベルによる分類
§2.3 各研究デザインの利点と欠点
1 前向き研究(主にコホート研究)
2 後ろ向き研究(主にケースコントロール研究)
3 横断研究
§2.4 研究デザインの分類を整理する
§2.5 第2章のまとめ
第3章 対象と選択バイアスを読む
§3.1 対象とは
§3.2 対象の何を読むか
§3.3 標本と母集団の関係(サンプリング)
§3.4 平均と標準偏差の意味
§3.5 バイアスとは
§3.6 選択バイアスの代表的な例
1 罹患率バイアス
2 入院バイアス
3 非協力者バイアス・積極協力者バイアス
4 会員バイアス
5 選択バイアスの扱い方
§3.7 選択バイアスを見つける
1 組み入れ手順のチェックポイント
2 調査対象集団と標本(対象)の把握とギャップの評価
3 割り付け方法の評価(実験的研究の場合)
§3.8 第3章のまとめ
第4章 データ測定にまつわるバイアス
§4.1 バイアスの3つの種類
§4.2 情報バイアスとは
§4.3 交絡とは
§4.4 割り付けのランダム化とブラインディング
1 割り付けのランダム化
2 ブラインディング
§4.5 論文の「方法」を読む
1 情報バイアスを見つける
2 情報バイアスに対処しているか
3 交絡を見つける
§4.6 第4章のまとめ
第5章 統計的解析を読むための基礎知識
§5.1 統計的解析を読むまえに
§5.2 投稿規定(統計的解析に関する事項)を読む
§5.3 データの指標:代表値
平均と中央値の使い分け / 正規分布とは / 平均とSDが使える場合
§5.4 データの尺度
§5.5 統計的検定の原理
統計的検定とは / 統計的検定の実際例
1 A群の平均とB群の平均に差はない(帰無仮説)とは?
2 帰無仮説と合致するか調べる(対立仮説の採択)
3 合致する確率(検定で求まる確率p)とは?
§5.6 第I種の誤りと第II種の誤り
§5.7 信頼区間
標本平均と母平均
§5.8 パラメトリック検定とノンパラメトリック検定
1 パラメトリック検定
2 ノンパラメトリック検定
3 パラメトリック検定とノンパラメトリック検定の使い分け
§5.9 第5章のまとめ
第6章 統計的解析を読む 【差の検定編】
§6.1 差の検定とは
2標本の差 / 対応のある標本
§6.2 差の検定を読む
1 解析の目的
2 検定手法
3 記述統計値,情報
必要な情報 / p値の判断が重要
4 グラフ,表
5 欠損値,脱落例,外れ値の扱い
6 信頼区間の提示
95%信頼区間の解釈 / 信頼区間とp値の関係 / 差の程度の判断のしかた
7 β,検出力の問題
8 サンプルサイズ
統計的検定の問題点 / 差の程度とp値の関係 / p値に影響する3つの要因
9 効果量
効果量の特徴 / 効果量の使い方
10 交絡
11 ソフトウェア
§6.3 第6章のまとめ
第7章 統計的解析を読む 【分散分析編】
§7.1 分散分析とは
3標本以上の差の検定
1 1元配置分散分析
3標本以上の差の検定
2 反復測定による(1要因の)分散分析
対応のある3変数以上の差の検定
3 2元配置分散分析
3標本以上の2要因の差の検定 / 要因と交互作用の4ケース
4 反復測定による(2要因の)分散分析
5 分割プロットデザインによる分散分析
6 多重比較法
3標本,3変数以上の差の検定
§7.2 分散分析を読む
1 解析の目的
2 検定手法
3 記述統計値,情報
必要な情報
4 グラフ,表
5 欠損値,脱落例,外れ値の扱い
6 信頼区間の提示
7 β,検出力の問題
8 サンプルサイズ
9 効果量
10 交絡
11 ソフトウェア
§7.3 第7章のまとめ
第8章 統計的解析を読む 【相関編】
§8.1 相関と回帰の違い
1 相関係数
2種類の相関係数
2 偏相関係数
3 回帰
4 重回帰分析
§8.2 相関を読む
1 解析の目的
2 検定手法
3 記述統計値,情報
必要な情報
4 グラフ,表
5 欠損値,脱落例,外れ値の扱い
6 信頼区間の提示
7 β,検出力の問題
8 サンプルサイズ
9 効果量
相関係数解釈の注意点
10 交絡
11 ソフトウェア
§8.3 第8章のまとめ
第9章 統計的解析を読む 【回帰分析編】
§9.1 回帰分析とは
1 単回帰分析
2 重回帰分析
単回帰式の場合 / 単回帰式の成分が共通する場合 / 重回帰分析の欠点 / 有効な変数を選択する
§9.2 回帰分析を読む
1 解析の目的
2 検定手法
3 記述統計値,情報
必要な情報 / 情報解読のポイント
4 グラフ,表
5 欠損値,脱落例,外れ値の扱い
6 信頼区間の提示
7 β,検出力の問題
8 サンプルサイズ
9 効果量
10 交絡
11 ソフトウェア
§9.3 第9章のまとめ
第10章 統計的解析を読む 【分割表の検定(χ2検定)編】
§10.1 分割表の検定とは
χ2検定とは
1 χ2独立性の検定・適合度検定
2 フィッシャーの正確確率検定・イェーツの補正
3 連関係数
相関係数との類比
4 リスク比・オッズ比
リスク比・オッズ比の使い分け
5 感度・特異度
6 ROC曲線
ROC曲線の読み方
§10.2 分割表の検定を読む
1 解析の目的
2 検定手法
3 記述統計値,情報
必要な情報 / 情報解読のポイント / 調整済み標準化残差の読み方
4 グラフ,表
5 欠損値,脱落例,外れ値の扱い
6 信頼区間の提示
7 β,検出力の問題
8 サンプルサイズ
9 効果量
10 交絡
11 ソフトウェア
§10.3 第10章のまとめ
第11章 統計的解析を読む 【多重ロジスティック回帰分析編】
§11.1 多重ロジスティック回帰分析とは
1 多重ロジスティック回帰分析の特徴
重回帰分析との違い / 多重ロジスティック回帰分析の利点
2 独立変数の選択法
3 解析上の注意点
§11.2 多重ロジスティック回帰分析を読む
1 解析の目的
2 検定手法
3 記述統計値,情報
必要な情報 / 情報解読のポイント / オッズ比の読み方(1) / オッズ比の読み方(2) / 予測判定スコアの求め方
4 グラフ,表
5 欠損値,脱落例,外れ値の扱い
6 信頼区間の提示
7 β,検出力の問題
8 サンプルサイズ
9 効果量
10 交絡
11 ソフトウェア
§11.3 第11章のまとめ
第12章 統計的解析を読む 【主成分分析・因子分析編】
§12.1 主成分分析・因子分析とは
1 主成分分析
解析の目的(例)/ 主成分分析の手順 / 寄与率と累積寄与率
2 因子分析
因子分析の手順
§12.2 主成分分析・因子分析を読む
1 解析の目的
2 検定手法
3 記述統計値,情報
必要な情報 / 情報解読のポイント/ 因子負荷量の推定方法 / 因子の回転方法 /
回転方法の使い分け / 因子負荷量解釈のポイント
4 グラフ,表
5 欠損値,脱落例,外れ値の扱い
6 信頼区間の提示
7 β,検出力の問題
8 サンプルサイズ
9 効果量
10 交絡
11 ソフトウェア
§12.3 第12章のまとめ
第13章 研究論文を読む
§13.1 論文をPECOに要約
§13.2 研究デザインの判断
§13.3 バイアスの予想
§13.4 標本抽出・対象の評価
§13.5 割り付けの評価(実験的研究の場合)
§13.6 介入(実験的研究の場合)
§13.7 評価・測定の検討
5W1Hの確認
§13.8 データ解析
データ解析の確認事項 / 交絡のチェック
§13.9 考察:解釈と外挿
考察の記載事項 / 論文を正しく読むために
§13.10 第13章のまとめ
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