あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
私はリハ栄養の中でも廃用症候群の臨床研究を行っていますが、今日はその先駆者を紹介いたします。金沢大学附属病院リハ科の八幡徹太郎先生です。
2006年度から2008年度まで科研費で「デコンディション症例における体力・体組成・栄養状態の変化と運動療法の意義」という研究を行っています。
http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/18500396
上記HPに記載されている研究概要を引用させていただきます。以下、引用です。
「急性疾患後や侵襲大の手術後等にはphysical deconditioning(以下、デコンディション)が生じやすい。この状態に対する適切な改善治療としては、近年、運動療法だけでは不十分と推定されており、消耗状態や低栄養状態等を勘案した包括的治療体系が必要ではないかと考えられるようになった。しかし、このことを追求した研究は過去・現在ともに乏しい。本研究では、デコンディション患者における運動能力・ADL 改善度と治療期間中の栄養状態との関連性を分析した。その結果、体組成が全般的低値を示すような低栄養患者を除き、大部分の患者ではリハ治療期間中のデコンディション改善度とTP 値・Alb 値・食事摂取量・総栄養投与量との間には明白な関連性を認めなかった。」
より詳細な研究成果報告書のPDFファイルは下記HPで見ることができますので、こちらもぜひ見て下さい。
http://kaken.nii.ac.jp/pdf/2009/seika/jsps-1/13301/18500396seika.pdf
私はリハ学会などで八幡先生の発表を拝聴させていただきましたが、自分が廃用症候群のリハ栄養の研究を行う上でかなり参考になりました。特に「リハ治療期間中のTP値、Alb値の改善とADLの改善は無関係であった」などは、私にはかなりインパクトがありました。栄養指標とADLの関連はそう単純ではないことを認識することができましたので、このような先行研究が存在することはとてもありがたいです。
ただ、私が行った廃用症候群患者の後向きコホート研究では、Hb値と小野寺のPNI(栄養学的予後指数)とADLの改善には関連を認めました。ただ、TP値は検討してなく、Alb値では関連はなかったので、八幡先生の研究と矛盾する結果とは言えないと思っています。
現在行っている前向きコホート研究でどうなるかはまだわかりません。データ収集で苦労していますが、引き続き頑張らないとなあと改めて思っています。
また、廃用症候群の臨床研究で常に問題となるのは、廃用症候群の診断基準です。ここがしっかりしていないので、学会発表はできても、原著論文にすることはなかなか難しいのが現状です。私の仮説は、廃用=安静・低栄養(侵襲・飢餓・悪液質)複合体ですので、少なくとも今行っている臨床研究でこれを検証したいと考えています。
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