2010年3月16日火曜日

第32回日本臨床栄養学会

8月28日、29日に名古屋国際会議場で、第32回日本臨床栄養学会総会・第31回日本臨床栄養協会総会第8回大連合大会が開催されます。

http://www.macc.jp/2010rinsho-eiyo/

私は学会の存在は以前から知っていましたが、参加したことはありませんでした。今回、栄養ケア連携に関する講演をさせていただくことになりました。地域連携の話をさせていただく機会が増えていて、その重要性がさらに高まっていることを実感しています。以前の発表と似たような内容の文章ですが、最後に記載させていただきます。

別件で先日、薬剤師向けと作業療法士向けの栄養に関する研修会講師の依頼があったのですが、日程があわずに断ってしまいました。特にOT向けにリハ栄養の話をする機会はめったにないので何とかしたかったのですが、とても残念でした…。

横浜南部地域一体型NSTにおける栄養ケア連携

横浜南部地域一体型NSTは、横浜南部地域(金沢区、港南区、磯子区、南区、中区、西区)において急性期病院、リハビリテーション(以下、リハ)病院、診療所、歯科医師会、介護施設、在宅、行政などで栄養療法に関する学習、交流、連携を推進し、患者のQOL向上に貢献することを目的に立ち上げた。2007年11月に横浜市磯子区と港南区のNST稼働施設2か所が中心となって、磯子港南地域一体型NSTとして立ち上げ、2008年3月から横浜南部地域一体型NSTに拡大して活動している。テーマは当初、嚥下障害、経口摂取を優先していたが、現在は限定していない。

各NST稼働施設で定期的に行っているNST勉強会のうち、年1回を横浜南部地域一体型NST勉強会と位置付け、同時に連絡会と懇親会を行っている。今までに8回勉強会、連絡会、懇親会を開催した。各NST稼働施設のNST勉強会をベースにすることで、企画の負担を少なくしている。毎回、懇親会を開催することで顔の見えるネットワーク作りを強化している。

地域連携のツールとして、神奈川摂食・嚥下リハ研究会で作成したNST嚥下連絡票(PDN:PEGドクターズネットワークのHPからダウンロード可能

http://www.peg.or.jp/network/kanagawa/index.html

) の運用を推奨している。多職種で共通の連絡票を活用することで、食事の形態や栄養ケアだけでなく口腔ケア、増粘剤の粘度、食事の姿勢、リハテクニックなどもより適切に連携できる。

横浜南部地域も含めた神奈川県内の嚥下相談窓口を作成した(PDNのHPからダウンロード可能)。現在、県内に49か所ある。地区ごとに嚥下相談窓口を明確にすることで、摂食・嚥下障害患者の地域連携を進めやすくなる。嚥下相談窓口以外にも、往診可能な医師・歯科医師、訪問看護師、訪問言語聴覚士、訪問管理栄養士、訪問薬剤師など在宅の情報把握と共有を行っている。

リハ栄養の考え方も有用である。リハ栄養とは、栄養状態も含めてICF(国際生活機能分類)で全人的な評価を行ったうえで、適切な予後予測のもとで、リハ栄養ケアプランを実践することである。摂食・嚥下障害の原因の1つである嚥下筋の筋萎縮には、飢餓・侵襲、廃用性筋萎縮、サルコペニア、悪液質、原疾患による筋萎縮のうち、複数の要因を認めることが少なくない。そのため栄養ケア連携だけでは摂食・嚥下機能、ADL、QOLの向上のためには不十分なことが多く、リハ栄養ケア連携が必要である。

第8回勉強会参加者を対象に行ったアンケート調査で、在宅を含めたNSTの連携・ネットワーク強化と、栄養や摂食・嚥下の学習機会の提供が、今後取り組むべき課題であることが明らかになった。今後は、在宅に関わる各職種との顔の見えるネットワーク作りの強化と情報共有、NST嚥下連絡票のさらなる運用、県内他地域での地域一体型NSTの立ち上げ支援を行いたい。

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