2010年4月23日金曜日

医療関係職種教育におけるFDのシステム

理学療法ジャーナルの2010年4月号に、入門講座:理学療法学教育とFD①として、藤崎和彦先生の「医療関係職種教育におけるFDのシステム」という原稿が掲載されています(p317-324)。リハの雑誌でFaculty Developmentという用語を私は初めて見た気がします。

この論文では、教師の教育・学習スキルをどう伸ばすか(Teacher training)と成人学習理論の紹介に重きが置かれています。

なぜTeacher trainingが必要かに関しては、「教育の対象領域が単なる生物学的医学知識から社会心理行動面まで含めた全人的なものへと拡大し、教育手法もより学習者参加型の実践的なものへと変化して」いるためとしています。

私は一方的な講義中心型教育は「昭和」の学習方法で、参加型学習が「平成」の学習方法と考えています。個人的経験で、講義中心型教育の学習効率は悪いことを痛感しています。そのため、神奈川NST専門療法士連絡会のFD勉強会では、なるべく参加型学習を増やすように心がけています。

自分が講義・講演をする機会には、なるべく一方的にならないように、質問を投げかけたり、症例検討にしたりするように気をつけています。それでもまだまだ不十分ですが…。

成人教育理論の特徴として、以下の4点が紹介されています。

①自己決定的
②体験・経験重視
③ニードに基づく学習が効果的
④問題中心的、作業中心的学習を好む

これらの特徴を活かした参加型学習の学習効率は比較的高いと感じています。

Daleによる社会心理学の実験結果も紹介されています。

「読むことだけで2週間後に覚えているのは約1割、聞いたことでは2割、みたことで3割、みることと聞くことをあわせてやっと5割というように、受動的な学習では効率がよくない。一方、自分で話すと7割が記憶に残るし、話した後に実際に体験してみると何と9割が記憶に残っている」

私の実感では、受動的学習では1割も覚えることはできていません。5%程度だと思います。一方、話したり書いたりすることで5割以上は記憶に残っている印象です。ここからも主体的・能動的学習、経験からの学習の重要性がわかります。

この論文では岐阜大学医学部医学教育開発研究センターの取り組みが紹介されています。年間4回医学教育セミナー&ワークショップを開催しています。

その他にFDを学べる機会は少ないのですが、私の友人が「ハワイ大学医学部 医学教育室 医学教育フェローシップ」に参加しています。

http://www.medical-principle.co.jp/hawaii/info01.html

HPに掲載されている範囲でしか内容は確認できないのですが、友人の話では相当すごいそうで、私も参加を薦められています。ちなみに薬剤師も参加しているそうです。モジュールのみ紹介いたします。

Module 1 魅力ある教育の創造:危険な「輸入」教育。標準化ではなく多様化が勝負の鍵
Module 2 上手に教える:『トップ指導医』への道
Module 3 上手に育てる:『評価のための評価』に別れを告げよう!
Module 4 リーダーシップ:技術、経験、そして、智恵
Module 5 国際交流:Globalizationの時代に生き残るための戦略

入門講座:理学療法学教育とFDは3回連載のようですので、PTジャーナルを入手できる人は、ぜひ4月号から6月号までご一読ください。

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