「PT・OT・STのためのリハビリテーション栄養」では、「機能訓練室に栄養剤を」というコラムを記載しましたが、今日は「機能訓練室にトロミ水分を」というテーマで考えてみます。
機能訓練室では積極的な訓練内容を行っている方も少なくありませんので、中には訓練中にのどが渇き、水が欲しいと希望されることがあります。それ自体は生理的現象ですし、もっともな話です。
このような場合、嚥下障害が全くない方であれば、PT・OT・STは水道水を紙コップか何かで提供するかと思います。一方、重度の嚥下障害でまったく経口摂取ができない方であれば、無理だとお断りするか、可能な方であればうがいだけして吐き出してもらうかとなります。これらの場合、大きな問題はありません。
難しいのはとろみのない水では誤嚥する可能性が高いけれども、適切なとろみのついた水分であれば誤嚥する可能性がほとんどない嚥下障害患者の場合です。
本人の希望通りに水道水を提供して誤嚥させてしまうことには当然、問題があります。しかし、とろみのない水では誤嚥するからといって、機能訓練室で水分を提供しないまま訓練を続けることも、ベストとは思えません。
特に回復期リハ病棟では訓練時間が長いことが多いです。のどが渇いた状態で訓練を継続しても、よいパフォーマンスを期待することは難しいと考えます。のどの渇きばかりが気になって、早く病棟に帰りたいと思うのが心情でしょう。
そのため、機能訓練室でトロミ水分を摂取できることが、リハ栄養的には望ましいと考えます。これは栄養剤を機能訓練室で経口摂取する場合にもあてはまります。嚥下機能によっては栄養剤にとろみをつけることが当然、必要です。
方法としては2つあります。1つは病棟で本人の嚥下機能に見合った適切なとろみのついた水を、あらかじめ訓練前に作成しておいて、訓練時に本人が機能訓練室に持参する方法です。最近の増粘剤でしたら時間が経過しても粘度がそれほど変化しませんので、衛生面に気をつければ実現可能だと思います。
もう1つは機能訓練室で、本人に水分摂取の希望があった場合に、その場で水道水にとろみをつける方法です。この場合、本人にとって適切な粘度をPT・OT・STが理解していなければ、作成することはできません。
PT・OT・STにとっては前者のほうが負担が少ないので好ましいかもしれません。ただし、この場合でも病棟で適切なとろみのついた水を作成して機能訓練室に持ってきてもらうよう、本人や看護師に依頼するのは、PT・OT・STの仕事です。
これからもっと暑くなり脱水が心配な季節になりますので、機能訓練室で脱水を悪化させるようなことはないように訓練を行いたいです。
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