2012年8月2日木曜日

ロコモティブシンドロームと栄養

日本栄養・食糧学会 監修、田中清・上西一弘・近藤和雄 責任編集、ロコモティブシンドロームと栄養、建帛社を紹介します。

http://www.kenpakusha.co.jp/np/isbn/9784767961651/

2011年5月に開催された第65回日本栄養・食糧学会大会シンポジウム「ロコモティブシンドロームと栄養」を基に新たな執筆者を加え最新の研究成果をまとめた書籍です。

ロコモというと、もっぱら運動器や運動療法(整形外科)というイメージが強く、栄養というイメージは今までありませんでした。この点では興味深いテーマであると感じます。ロコモに関心のある方は、ロコモチャレンジ!のHPを参照してください。

http://www.locomo-joa.jp/

ロコモで問題となる原因疾患は、骨粗鬆症、変形性膝関節症、変形性腰椎症、サルコペニアあたりとなります。この中でサルコペニアに関しては今まであまり注目されていなかったと思います。

ただし、この書籍ではサルコペニアの栄養療法に関する記載はわずかです。骨粗鬆症に対するものが中心で、変形性関節症の栄養療法に関する記載もわずかです。そのため、ロコモと骨粗鬆症に関心がある方にはおすすめしますが、サルコペニアと栄養に関心のある方にはおすすめしません。

ロコモではサルコペニア、肥満、サルコペニア肥満のいずれも問題となります。また、ロコモと虚弱(Frailty)はやや類似した概念ではありますが、多少異なります。ロコモ=整形外科、虚弱=老年科、サルコペニア=老年科とリハ栄養という印象ですが、今後、オーバーラップが増えていくことが予測されます。

目次
序 章 ロコモティブシンドロームと生活習慣
第1章 ロコモティブシンドロームの疫学
第2章 ロコモティブシンドローム,メタボリックシンドロームとカルシウム摂取
第3章 食事リン摂取と骨健康およびQOL
第4章 ロコモティブシンドロームと遺伝子多型性
第5章 骨粗鬆症・骨折におけるビタミンDおよびビタミンKの重要性
第6章 ビタミンKの新しい作用メカニズムと骨における役割
第7章 水溶性ビタミンとロコモティブシンドローム
第8章 ロコモティブシンドローム予防のための栄養・食生活
第9章 ロコモティブシンドロームにおいて栄養療法の果たすべき役割
第10章 ロコモティブシンドロームの予後・将来展望

2 件のコメント:

  1. ロコモティブシンドロームと栄養の関係について興味がありこちら本を購入することにしたのですが、ロコモティブシンドロームと栄養についてかたよりなく書かれている書籍(サルコペニアと栄養についてもきちんと書かれている)をご存じでしたら教えて頂けますでしょうか?

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  2. コメントどうもありがとうございます。ロコモティブシンドロームと栄養の関係について書いた本は、これしかないと思います(他にあったら申し訳ありません)。

    「ロコモティブシンドローム」という書籍は、ロコモティブシンドローム全般について執筆されていて、その中で栄養に関する記載も少しあります。下記HPで目次を見ることができますので、ご参照ください。よろしくお願い申し上げます。

    http://www.m-review.co.jp/shop/goods.html?item_base_id=3404

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