医歯薬出版の「リハビリテーション栄養ハンドブック」のHPで、序文を見ることができます。
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details_1.aspx?cid=2&bookcode=218630
HPにある序文を紹介させていただきます。多くの方に読んでいただけると嬉しいです。以下、序文です。
リハ栄養の2冊目の書籍を医歯薬出版株式会社から出版させていただくことになりました.前書「PT・OT・STのためのリハビリテーション栄養─栄養ケアがリハを変える」との出会いがPTとしての転機になった,前書を使用してリハ部内で学習会を行った,歯科にとっても重要だなどの反応を聞き,リハ栄養という言葉をつくってよかったと感じています.今回はPT・OT・STだけでなく,リハ栄養にかかわるすべての職種向けの書籍としました.リハ栄養の考え方やリハNSTは,リハ関連職種以外にも有用です.執筆者の職種もできるだけ多彩としました.
2010年からPT・OT・ST,歯科衛生士も日本静脈経腸栄養学会のNST専門療法士を取得できるようになりました.このこともリハと栄養の距離を近づける方向に働くと考えています.多くのPT・OT・ST,歯科衛生士にNST専門療法士を目指してほしいです.
本来,栄養状態を評価しなければ,リハの機能評価と予後予測,リハプラン,リハプログラムの適切な立案と実施はできません.つまり,リハにとって栄養はバイタルサインの1つといえます.栄養ケアなくしてリハなし,リハなくして栄養ケアなしです.当面はリハ栄養の言葉や考え方の普及が目標ですが,長期的にはリハ栄養という言葉を用いなくてもリハと栄養管理を併用することが当然という時代にしたいです.
リハ栄養の実践でADLやQOLが著明に改善する患者をみてきました.一方,今でも重度の栄養障害,餓死寸前の状態にもかかわらず,リハで筋力やADLを改善させてほしいというリハ依頼があります.重度の栄養障害や不適切な栄養管理であることが認識されずに,積極的なレジスタンストレーニングや長時間の機能訓練が実施されて逆効果となっていることがあります.そのため,本書ではサルコペニア(骨格筋減少症,筋肉減少症)の評価と介入に重点を置きました.サルコペニアを適切に評価できれば,このような事態は少なくなります.臨床現場にサルコペニアの方はたくさんいますので,まずはサルコペニアの存在を疑うようにしていただけるとうれしいです.
今回は私の尊敬する仲間に執筆をお願いしました.皆様が快く引き受けて執筆してくださったおかげで,前書よりリハ栄養の重要性と対象の広さを表現することができました.執筆者の皆様に深謝いたします.
最後に医歯薬出版株式会社の小口真司さんには,企画,執筆,編集などで今回も大変お世話になりました.心よりお礼申し上げます.
2010年11月
若林秀隆
2010年11月18日木曜日
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私は救急病院の医師で救急医療でも臓器不全が専門です。
返信削除グループの急性期リハビリテーションやNSTの創設に関わってきました。
65歳を過ぎるとSarcopeniaが増加しますが、00年から06年までの時期に65歳以上の入院患者比率が63.08%から74.15%と増加したので04年から職員数の増員と組織替えをおこない、40名の病棟にはそれぞれ理学療法士が2名、管理栄養士が1名常駐し、ベッドサイドの急性期リハとNSTがおこなわれています。
そこまでやっても回復が遅れる患者がいて、腎不全合併令が典型的でした。
サイトカインが上昇すると消耗を防ぐためにTSHとFT3が低下するのですが回復期に上昇し代謝は回復します。
心大血管手術では2日目まで低下して以後上昇するのですが、急性腎不全の回復期や透析患者では2週間以後にしか回復せず運動量が少ないと低いままでした。
急性期の病態がもう少し理解されて充分な医療専門職が関わっていけるようになって欲しいのです。
NSTに理学療法士、リハビリに管理栄養士が参加するのが常識になって欲しいと思っていますが、私たちが主張しても異端のままでした。
異端の仲間がいてうれしく思っています。
近森病院勤務医近森正昭
近森先生、貴重なコメントをくださり、どうもありがとうございます。私もリハ栄養の学習途中の身分ですが、病態を理解しないで安易に廃用症候群とラベルを付けて理学療法を行うのは極めて問題だと考えています。
返信削除NSTにPT・OT・STが参加すること、リハに管理栄養士が参加することは、リハ栄養では当然、常識でなければ困ります。これを常識だと思わないほうが、多数派であっても異端だと私は考えます。
回復期リハ病棟で専任の管理栄養士がいない状況で、リハ充実加算や休日リハ提供体制加算を算定することも、患者にとって危険な可能性があると感じます。
まずはリハ栄養が常識になる日が来るまで、走り続けます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。