2010年8月2日月曜日

学問のすすめ

今日は、福沢諭吉著、伊藤正雄監修他、学問のすすめ、講談社学術文庫を紹介します。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1597590

1万円札でおなじみの福沢諭吉ですし、学問のすすめのタイトルや「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という最初の言葉は誰でも知っているはずです。ただ、学問のすすめをすべて読んだことがあるという方は少ないと思います。私も読んだことがありませんでした。

竜馬伝を見ている(竜馬の生き方に憧れます)ので、この時代への関心が高まっていて、たまたま手にとってのかもしれません。

言わずと知れた明治のベストセラーで、現代では当てはまらない古いこともありますが、一方で現代にも通じることは少なくありません。明治と平成とで、科学技術の進歩と恩恵は大きいですが、国民のレベルはそんなに変わっていないのかもしれません。

スピーチのことを日本語で演説といいますが、演説ということばは福沢諭吉が作ったそうです。つまり、江戸時代末期までは演説という概念がなく、西洋文化が入ってきてはじめて行われるようになったようです。

「学問の要は活用にあるのみ。活用なき学問は無学に等し。」も名文だと私は感じました。特に医療人にとっては、学問のための学問では意味がないですし。そのためには、専門の知識・技能+FDの能力が必要だと言っているように感じます。

「視察・推究・読書はもって智見(知識)を集め、談話(ディスカッション)はもって智見を交易(交換)し、著書・演説はもって智見を散ずるの術なり。」ということで、演説と談話を推奨しています。

私たちは学会、研究会、講演会などで普通に発表をしたり、論文や書籍を執筆したりしていますが、これも明治初期には当たり前のことではなかったと言えます。現代は実に演説や談話を行うのに恵まれた時代ですが、その恵みを個人的に十分活かしているかと言われると…ですね。

現代のベストセラー(もしドラなど)ももちろんよいですが、明治のベストセラーも夏休みなどに読んでみるのはいかがでしょうか。

目次
初編
 端書
第二編
 端書
 人は同等なること
第三編
 国は同等なること
 一身独立して一国独立すること
第四編
 学者の職分を論ず
 付録
第五編
 明治七年一月一日の詞
第六編
 国法の貴きを論ず
第七編
 国民の職分を論ず
第八編
 わが心をもつて他人の身を制すべからず
第九編
 学問の旨を二様に記して中津の旧友に贈る文
第十編
 前編の続き、中津の旧友に贈る
第十一編
 名分をもつて偽君子を生ずるの論
第十二編
 演説の法を勧むるの説
 人の品行は高尚ならざるべからざるの論
第十三編
 怨望の人間に害あるを論ず
第十四編
 心事の棚卸し
 世話の字の義
第十五編
 事物を疑ひて取捨を断ずること
第十六編
 手近く独立を守ること
 心事と働きと相当すべきの論
第十七編
 人望論

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