2010年8月30日月曜日

リーダーになる人に知っておいてほしいこと II

今日は松下幸之助述、松下政経塾編、リーダーになる人に知っておいてほしいことⅡ、PHPを紹介します。

http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?isbn=978-4-569-77711-5

松下幸之助氏を知らない方はいないと思いますが、パナソニック、松下政経塾、PHPの生みの親です。今の政治家には松下政経塾出身の方も少なくありませんし、現在ももちろん塾生がいます。

松下政経塾HP
http://www.mskj.or.jp/

この書籍は松下幸之助氏が自ら創設した松下政経塾において、若き塾生たちに直接語りかけた記録の中から、いまリーダーの任にある人そしてこれからリーダーになる人に資するところがあると思われる内容を厳選、要点整理をしたものです。実体験に基づいた経験から学んだ教訓、本質が紹介されています。

実際、第1章の最初に「どんなに面白い仕事をしても、それをすべて無意味なものとして捨て去ってしまう人がいる。一方、どんなにつまらない仕事でも、一所懸命に力の限り取り組んでその体験を生かす人がいる。その両者のあいだには、たいへんんあ違いがある。」とあります。特に医療人は他では得難い貴重な仕事や経験をたくさんしていますが、それを捨て去るか体験を生かすかで、成長を続けるか衰退するかが決まります。

個人的には第3章の最初の「苦労に苦労を重ねることによって磨かれ完成した人格は、その人の仕事にこもる。」という言葉が、特に心に響きました。「今日、成功を見るに至った企業には、坦々とした果てしない道のりがあり、人知れない、それこそ言うに言えない苦労がいっぱいあったと思う。」とあります。

本人がそれを苦労ととらえているかどうかは別として、沢山の努力、失敗、体験が見えないところにあり、その上に成功があることは、企業に限らず他の組織でも個人でも同様でしょう。成功を氷山の一角ととらえるか、氷山のすべてととらえるかで、成功するか、人格が磨かれるかが決まるような気がします。

「塾生諸君もみずからの人生をそういう考え方で歩まんといかんな。」とまとめています。医療人は臨床ではなかなか失敗することが許されない環境にあります。一方、臨床研究は最初から失敗することがわかっている研究は倫理的に問題がありますが、そうでなければ結果的に失敗することは許されると思います。

学会発表や論文執筆で多くの経験、失敗をすることは、貴重な学習と成長の機会であり、人格の研磨にも有用かもしれません。臨床で失敗できない分、研究で失敗を含めた経験を積むことをおすすめします。

目次

1章 学び方―みずからを鍛え、磨き、高める(体験を生かす人、捨て去る人
人を幸せにするリーダー
自分で自分を監督しているか
自修自得をしているか
実学の積み重ねが一瞬にして現われる
習うことも教えることもできないこと
素直な心で知恵を磨く
自分を叱り自分をほめているか
自我は一生つきまとう
先見性は必要か
肉眼と心眼)

2章 考え方―事の本質を知り、知恵を使いこなす(洞察力のある人になる
志を固めて、堅持する
世間から知恵を授かる
追いつめられて、いい知恵は出てくる
融通無碍になる
人間の性を認める
“清”を飲んでも“濁”は捨てる
人間を高め、知恵を高める
自分で辛酸をなめる
努力の総和が繁栄を産む
悲観と楽観
心に善意をもつ)

3章 働き方―人間の本質を知り、人間を大切にする(人格と仕事
ふわふわしていては何もできない
先立つものは信用
熱意と運命
一人一業
商品と広告宣伝
社会通念という義務
本業に専心する
それぞれにそれぞれの役割がある
“とどめ”を刺す
発展と衰退にある真理
会社という運命共同体
前進すべきか、撤退すべきか
ただ厳しいだけではいけない
“空気”でわかる)

4章 生き方―限りない希望、大いなる理想に燃える(青春とは心の若さである
天の要望に従う
時運に乗る人、乗れない人
困窮を知る尊さ
悩みに負けない
度胸のある生き方
私心を捨てる
運命を生かすのは自分
辛抱強く耐える力)

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