2010年8月29日日曜日

日本臨床栄養学会参加

昨日、今日と日本臨床栄養学会に参加してきました。今回は自分の発表が昨日の朝一だったので、あとは聞くだけで気楽でした。今日はシンポジウム7:栄養とサルコペニアを聞きました。これは期待していた通りに、自分にはとても興味深い内容でした。

座長
葛谷 雅文 名古屋大学大学院医学系研究科 老年科学 准教授
大荷 満生 杏林大学医学部 高齢医学 准教授       

1 Astaxanthin 摂取と筋萎縮抑制
杉浦 崇夫 山口大学 教育学 スポーツ健康科学 教授
2 加齢におけるアナボリックペプチド グレリンの意義とトランスレーショナルリサーチ
中里 雅光 宮崎大学医学部内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野 教授
3 アミノ酸によるサルコペニアの改善
小林 久峰 味の素株式会社アミノサイエンス研究所 機能製品研究部 アミノ酸機能研究室 室長
4 ポリフェノールと身体機能
原水 聡史 花王株式会社 生物科学研究所

私なりの解釈なので間違っている点もあるかもしれませんが、要旨をまとめると、

・Astaxanthinとポリフェノール(茶カテキンとレスベラトロール)は動物実験レベルで、筋萎縮抑制効果があることまでわかっている。人での効果は不明。また、筋合成促進効果はない(乏しい)ため、臨床では運動との併用が必須。

・グレリンとアミノ酸(特にロイシン)は人での臨床研究も行われており、筋萎縮抑制効果だけでなく、筋合成促進効果があることまでわかっている。COPD患者にもグレリンは有用。ただし、運動やリハと併用したほうが筋合成促進効果はより高まる。

だと感じました。グレリンは発表を聞く限りとても期待できますが、まだ臨床で使用することは難しいのが現状です。実際の臨床場面ではアミノ酸(特にロイシン)と運動(レジスタンストレーニング)の併用が現実的と思いました。

一般演題でも「サルコペニア(骨格筋減少症)に対するリハビリテイション・栄養治療により自立度の改善をみた1症例」というリハ栄養的な発表がありました。BCAA1000mg含有ゼリーと蛋白質同化ホルモン(エナルモン25mgを最初は連日、徐々に減らして週1回)を使用していました。

サルコペニアに関しては自分なりにいろいろ学習しているつもりですが、今回初めて聞いたことも少なからずありました。このような素晴らしいシンポジウムを企画してくださった葛谷先生に深謝いたします。

一般演題の発表も少し聞きました。他の栄養関連学会より比較的しっかりした研究発表が多かったので、学会に好感を持ちました。聞くに堪えないレベルの発表も中にはありましたが、他の学会よりは割合が低いと感じました。来年は東京で開催されるそうなので、日程が合えば来年も参加したいと思います。

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