2010年12月1日水曜日

動機づけ要因と衛生要因

今日は、F.ハーズバーグによって提唱されたモチベーション理論である、動機づけ要因と衛生要因を紹介します。この理論は古典かもしれませんが、極めて有用な考え方だと私は感じています。

ハーズバーグは、仕事に対する満足をもたらす要因と不満をもたらす要因が異なることを示しました。以下に両者の例を示します。

動機づけ要因:仕事の達成感、責任範囲の拡大、能力向上や自己成長、チャレンジングな仕事など。

衛生要因:会社の方針、管理方法、労働環境、作業条件(金銭・時間・身分)など。

劣悪な労働環境(例:長時間労働、頻回の当直、当直明けの連続勤務、給料が安い、インターネットができない環境)だと多くの場合、不満を感じます。ただ、これらが解消されたからといって仕事満足度が高くなるわけではなく、仕事不満度が少なくなるだけです。

一方、仕事を通じて自分が学習と成長をしたり、院内外のネットワークが広がったり、患者さんの治療や改善に貢献したりすると多くの場合、満足を感じます。これらが少ない場合には、仕事満足度が低くなりますが、劣悪な労働環境のような不満感はそれほど出てきません。

NSTや嚥下チームで大事なことは、衛生要因で不満感を作らないようにしつつ、動機づけ要因で満足感を作ることになります。どちらか一方だけというわけにはいきませんが、モチベーションを高めるという意味では、動機づけ要因に重きを置くことが有用です。リハ栄養への関心を高める意味でも、動機づけ要因を意識していきたいと考えています。

ちなみにこの理論は仕事に限らず、人間関係などでも有用です。例えば私の場合、時間にルーズな人間が嫌いです(衛生要因がみたされずに不満が高まります)。ただ、時間に正確であっても、その人に惚れることはありません(笑)。つまり、欠点・弱み(衛生要因)を改善しても、人に好かれるようにはなりません。

一方、生き方・考え方が素敵な方や素晴らしい成果をあげている方のことは好きになります(動機づけ要因がみたされて満足が高まります)。ただ、まだ学習と成長の発展途上の方であっても、嫌いになることはありません(笑)。つまり、長所・強み(動機づけ要因)を改善することで、人に好かれるようになります。

私は昔、人に好かれようと思って衛生要因をなくすことにばかり力を入れていましたが、これは人に嫌われないための努力であって、人に好かれるための努力ではありませんでした。その結果、残念ながらモテませんでした(笑)。今は、動機づけ要因を身につけることにより力を入れています。

2 件のコメント:

  1. みらい12/07/2010

    先生の書いた投稿に後押しされ、行き詰まっていた仕事がうまく回りはじめています。ありがとうございました。
    ドラッカーにしろハーズバーグにしろ先生のブログはとても勉強になります。寒い日が続きますがお体には気をつけてくださいね。

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  2. みらいさん、コメントどうもありがとうございます。FDのスキルは仕事で成果をあげるために、必要、有用だと考えています。多少でも参考になっていれば幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

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