臨床とトランスレーションの栄養研究をどのように発展させるかというASPEN(アメリカ静脈経腸栄養学会)の論文がありました。
Frederick A. Moore, Thomas R. Ziegler, Daren K. Heyland, Paul E. Marik and Bruce R. Bistrian: Developing Research Programs in Clinical and Translational Nutrition. JPEN J Parenter Enteral Nutr 2010 34: 97S-105S. DOI: 10.1177/0148607110374320
下記のHPで全文見ることができます。
http://pen.sagepub.com/content/34/6_suppl/97S.full.pdf+html
ASPENでも質の高い臨床研究が不十分なことが問題となっているようです。特に2000年以降に関しては、本文中に下記のような記載がありました。
By the early 2000s, funding from industry began to disappear.
The annual meeting of A.S.P.E.N. became less research
oriented, physician involvement notably dwindled, and the
meeting’s primary focus has largely shifted to ongoing education
of dietician and pharmacy members.
ASPENには参加したことがありませんが、研究志向が減り、医師の参加が減り、栄養士や薬剤師などコメディカルの継続教育に重きが置かれるようになってきたようです。もちろん継続教育の重要性は否定していませんが、研究志向が減っていることは問題だと思います。日本の学会でも同じような状況だと思いますが…。
そこで臨床栄養の研究活動を活発化させるための3つの戦略に関して検討しています。
1 increase funding of nutrition research
2 foster young physician training in nutrition and research
3 attract nutrition researchers to our national nutrition society meetings
日本でも1と2は同様の戦略が必要だと感じました。特に医師が臨床栄養研究を行えるようになるためのトレーニング機関が、日本にはほとんどないのでは…と思います。一方、3に関しては今のところ学会参加者はとても多いので問題になっていないと思いますが。
結語として他の専門領域の学会と一緒になって、より大きな臨床研究、トランスレーショナル研究を行うことがよいのではと記載されています。
原著論文にならないような発表が日本の学会では多いように感じます。他人事ではありませんが…。まずは臨床研究の基本を学習できる場をなるべく多くすることが必須だと考えます。
ちなみにASPENではリハ栄養というよりも、急性期、集中治療の栄養管理に重点が置かれているように読んでいて感じました。リハ栄養はASPENよりESPENかなという印象です。
Abstract
Most clinicians believe that nutrition support therapy
improves outcome in hospitalized patients. Unfortunately,
few patients receive optimal nutrition management. A lack of
strong, well-designed research studies may prevent the medical/
surgical community from fully embracing the practice.
More quality research is needed. This article discusses 3
potential strategies to improve research activity in clinical
nutrition: increase funding of nutrition research, foster young
physician training in nutrition and research, and attract
nutrition researchers to our national nutrition society meetings.
The best chance for this process to succeed is for the
national nutrition societies to partner with medical and surgical
subspecialty societies to develop larger scale clinical and
translational research programs. (JPEN J Parenter Enteral
Nutr. 2010;34:97S-105S)
2010年12月21日火曜日
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リハ医学会専門医会からも研究補助金が出るようになったようですね。良い研究ができるかどうかはある程度予算がものをいうところも大きいと思いますので良い傾向かと思います。
返信削除momoさん、どうもありがとうございます。助成金額は20万円(3件)と少なめですが、大学所属以外のリハ専門医にどんどん応募して、よい研究をやってほしいですね。
返信削除私は以前、日本家庭医療学会の研究助成金20万円で、非常に多くの学びを得ることができました。とても感謝しています。