2010年12月28日火曜日

管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラムとリハ栄養

日本栄養改善学会が昨年提案した「管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム」を下記HPで見ることができます。

http://www.jade.dti.ne.jp/~kaizen/about/pdf/model_core_090523.pdf

基本方針は下記の3点とのことで、必要最小限に整理されたものです。

1.4年制の管理栄養士養成のためのモデルコアカリキュラムとする。
2.今後5~10年後の社会的要請や管理栄養士の役割の変化に対応できるものとする。
3.管理栄養士が活躍する何れの職場においても必要な共通の教育内容(コア)について,養成施設における総必修教育内容の70%程度を目途に整理し,これ(コア)をAと表示する。残り30%程度は,各養成施設の教育理念に基づく,独自の特色ある教育内容を設定する枠と考え,その際の参考として,Bの項目を用意する。

必要最小限とはいえそれでも莫大な項目で、これだけのことを4年間で学習するのかと考えると大変だなあと実感します。この中でリハ栄養に関連する領域を検討してみました。授業時間の目安では、以下の項目が該当します。

Ⅴ.実践専門科目
4.ライフステージ等における身体特性と栄養マネジメントについて学ぶ
 5)運動時の身体特性と栄養マネジメント A15EU B6EU (1EU=15分、6EU=90分=1コマの授業)
5.医療・介護・福祉における栄養管理について学ぶ
 6)要支援・要介護者の栄養管理(在宅を含む) A15EU B0EU
 7)障がい者の栄養管理(小児を含む) A15EU B0EU

運動栄養学で2.5~3.5コマ、要支援・要介護者・障がい者の栄養管理で合計5コマということになります。

各論では以下のようになっています。

5)運動時の身体特性と栄養マネジメント
A 3 ① 生涯を通じた健康管理のための身体活動・運動の意義について説明できる。
A 3 ② 健康づくりのための運動基準および健康づくりのための運動指針(エクササイズガイド)の基本概念および科学的根拠について説明できる。
A 3 ③ 身体活動・運動時のエネルギー・基質代謝および生理的変化の特徴について説明できる。
A 3 ④ 年齢,運動の種類,強度(メッツ,%最大酸素摂取量),時間に応じた栄養マネジメントについて説明できる。
A 3 ⑤ 体力を向上させるための運動の種類とトレーニングの方法について概説できる。
B 6 ⑥ 様々なトレーニング時の効果的な栄養補給法について概説できる。

6)要支援・要介護者の栄養管理(在宅を含む)
A 5 ① 要支援・要介護レベルに対応した栄養マネジメントができる。
A 5 ② 要支援・要介護レベルに対応した生活・食事支援について説明できる。
A 2 ③ 要支援・要介護者の支援者に対する栄養教育ができる。
A 3 ④ 介護予防のための栄養マネジメントと栄養教育ができる。

7)障がい者の栄養管理(小児を含む)
A 5 ① 障害のレベルに対応した栄養マネジメントができる。
A 5 ② 障害のレベルに対応した生活・食事支援について説明できる。
A 2 ③ 障がい者およびその支援者に対する栄養教育ができる。
A 3 ④ 障がい者の社会的支援について概説できる。

モデルコアカリキュラムには莫大な項目が含まれていますので、それを考えるとリハ栄養に関連した項目がこれだけ含まれているのはありがたいことかもしれません。また、各論では嚥下障害・嚥下性肺炎に関することが数か所出ていましたので、これからの管理栄養士は嚥下障害の基本を理解していると考えてよさそうです。

ただ私が見た限りでは、「リハとは」「障害とは」「ICF(国際生活機能分類)とは」に関する内容は、「A 2疾病の一次,二次,三次予防について説明できる。」以外にありませんでした。

30分で一次,二次,三次予防について説明しようと思ったら、リハに割ける時間は10分以内でしょう。これではリハ・障害・ICFに関する理解を深めることは難しいと思います。せめて病院に勤務希望の管理栄養士には、リハ・障害・ICFに関する卒前学習をもっと充実させてほしいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿