2011年3月9日水曜日

日本プライマリ・ケア連合学会専門医・認定医認定制度要綱

日本プライマリ・ケア連合学会専門医・認定医認定制度要綱が学会HPに掲載されています。私は専門医でも認定医でもありませんが、前身の学会から多くのことを学習させていただいたので紹介します。

http://www.primary-care.or.jp/nintei/nintei_youkou.pdf

この第3条には、専門医および認定医は別表に掲げる行動目標を達成できるよう,常に研鑽を積まなければならないとあり、以下の能力を統合し地域の診療所や中小病院で地域の第一線の医療を行うことができることを目標としています。詳細は上記HPを参照して下さい。

1.家庭医を特徴づける能力
・患者中心・家族志向の医療を提供する能力
・包括的で継続的,かつ効率的な医療を提供する能力
・地域・コミュニティーをケアする能力

2.すべての医師が備える能力
・ 診療に関する一般的な能力と利用者とのコミュニケーション
・ プロフェッショナリズム
・ 組織・制度・運営に関する能力

3.家庭医が持つ医学的な知識と技術
・ 健康増進と疾病予防
・ 幼小児・思春期のケア
・ 高齢者のケア
・ 終末期のケア
・ 女性の健康問題
・ 男性の健康問題
・ リハビリテーション
・ メンタルヘルス
・ 救急医療
・ 臓器別の問題

4.教育・研究

確かにこれだけの能力を網羅できればプライマリ・ケアの専門医といえると思います。私は残念ですが、すべてを網羅しているとはいえません。リハ医としては、プライマリ・ケア専門医が医学的な知識と技術のうち、リハビリテーションをどのように習得するかに関心があります。

このうち、すべての医師が備える能力のプロフェッショナリズムの細項目を紹介します。

家庭医に限らず,すべての医師が一職業人として,医師という専門職として,高い倫理性を有する必要があり,標準的な診療能力を維持するために生涯学習し続ける必要がある。

a. 以下のことに対して尊敬の念を払い,共感的であり,誠実であることができる。
(a) 医師個人の興味を超えた患者・家族や社会のニーズに対する感応性
(b) 患者と家族,社会,医師という職業集団に対する説明責任

b. 以下のことに関する倫理的側面に従い行動することができる。
(a) 治療の続行・取りやめに関する原則
(b) 患者個人情報の守秘義務
(c) インフォームド・コンセント
(d) 医療というビジネス,サービス業

c. 患者と家族,文化,年齢,性別,障害に対して敏感である。

d. 生涯学習を通じて標準的な診療能力を維持することができる。
(a) 自身を振り返り,評価することができる。
(b) 自身の学習ニーズを探り,優先順位をつけることができる。
(c) 自身の学習ニーズに適切な学習資源を同定することができる。
(d) 個人的なもの,臨床的なものも含めサポートを得られる職業上のネットワーク・学習の資源を形成することができる。
(e) 自分自身のケアや家族と過ごすための必要十分な時間を確保し,自身の仕事や学習と折り合いをつけることができる。
(f) 情報技術(information technology; IT)に関する知識・技術

これらは医師に限らずすべての医療人が備えるべき能力と考えます。どれも重要ですが、特に生涯学習の(a)、(d)、(e)の実践が大切だと個人的には思います。大事だと思っていてもなかなか行動に移せない項目なので、自分でも気をつけます。

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