2011年3月29日火曜日

いざ,倫理審査委員会へ

尾藤 誠司(著)、福原 俊一(監修)、いざ,倫理審査委員会へ、NPO法人健康医療評価研究機構(iHope)を紹介します。

http://www.i-hope.jp/activities/publication/index.html#text

アマゾンの内容紹介を引用します。以下、引用です。

臨床研究を実施する際に,研究計画を倫理審査委員会(IRB:Institutional Review Board)に申請することが義務づけられるようになったのは,わが国では最近のことです。10年くらい前までは,倫理審査委員会を通さずに行われていた臨床研究も決して少なくはありませんでした。 その重大な問題点に対して,最近ようやく認識が進み,外部委員も含めた倫理審査委員会が,個々の病院に設置されるようになってきました。また,疫学的な手法を用いた個々の患者情報を取り扱うような臨床研究については,事前に倫理審査委員会の承認を得ることが一般的になってきました。 そういう意味においては,倫理審査委員会に申請して承認を得たうえで研究をするというのは,研究の手続きのうえでは避けて通れないということになりますし,逆に倫理審査委員会に通すことは,研究事業を健全に開始し進捗させるための重要なステップであると考えるべきです。 この本では,臨床研究には避けて通れない1つの大きな山としての,研究に対する倫理性の吟味,さらに倫理審査委員会に自分の研究計画を申請して承認されるというところを,どのように越えていくかについて話していきたいと思います。

以上、引用です。

臨床研究の倫理について、最も大切なこととして、「臨床研究は、それ自体が目の前の患者さんに対して直接の利益を与えるものではない、そして、直接の不利益を与える可能性を保持している、ということを前提として実施されるべきであること」とおわりにで記載されています。これは観察研究であってもです。

臨床研究の倫理は年々厳しくなっている印象がありますが、厳しくなるにはそれだけの理由(倫理的に問題の大きい研究の存在、利益相反の存在、未来の患者さんたちや社会のためにならない研究の存在、学会発表だけで終わってしまう研究の存在など)があります。

臨床研究参加者の害を最小限にすることはもちろんですが、科学的価値や社会的価値がまったくない臨床研究(研究者個人の趣味・好みだけが目的の研究)を行うことも、倫理的には問題があります。原則として人を対象とするすべての臨床研究は倫理審査委員会で審査、承認を得なければいけないとヘルシンキ宣言にあります。

臨床研究の倫理の書籍というとなんとなく堅苦しいイメージがありますが、この書籍は尾藤先生のカラーが出ていて、わかりやすいのはもちろんですが、親しみやすくしかも手厳しい内容となっています。臨床研究の倫理を学習するには最適な書籍だと思います。

目次
第1章 臨床研究と倫理について
第2章 臨床研究における倫理的な勘案事項
第3章 研究デザイン別の倫理注意事項
第4章 倫理審査委員会への申請
第5章 研究費用と倫理

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