2011年3月1日火曜日

スポーツ栄養マネジメント

鈴木志保子著、健康づくりと競技力向上のためのスポーツ栄養マネジメント、日本医療企画を紹介します。

http://www.jmp.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=678

スポーツ栄養の本は少なからずありますが、私が今まで読んだ中ではもっとも参考になる書籍でした。ちなみに鈴木志保子先生は日本スポーツ栄養研究会の会長です。以前、神奈川県立保健福祉大学に行ったときに、ご挨拶だけさせていただいたことがあります。

第2章にスポーツ栄養マネジメントの目的として以下の3つが紹介されています。

①リスクマネジメント
②身体活動が増加した状況での健康維持と疾病予防
③体力・競技力向上(健康の増進を含む)

これはリハ栄養マネジメントの目的にも応用することができます。以下のような感じでしょうか。

①低栄養や不適切な栄養管理下におけるリスクマネジメント
②機能訓練の時間と内容が増加した状況での適切な栄養管理
③筋力・筋肉量・体力向上

今までのリハ栄養では主に①について述べてきた気がします。今後は②、③についても述べていきたいと思います。栄養状態と栄養管理を考慮したリハ・機能訓練だけでなく、リハ・機能訓練を考慮した栄養管理にも重きを置きたいと考えます。

第6章の省エネな身体、超省エネな身体の考え方も参考になりました。基礎代謝を極力少なくすることで、少ないエネルギー摂取量で長時間の運動・スポーツに耐えうる身体になっているのですね。健康的ではありませんが、スポーツ選手のパフォーマンスを最大限発揮するという意味では、目的に適っていると感じます。リハ栄養では省エネな身体は不要ですが…。

リハ栄養に参考になる知見が多いだけでなく、スポーツ栄養の豊富な経験から得られた知見がまとまっており、スポーツ栄養の学習にもリハ栄養の学習にもなると思います。特に管理栄養士にご一読をお勧めします。

目次

1 スポーツ栄養マネジメントとは
 (1)スポーツ栄養の歴史と現状
 (2)スポーツ栄養学
 (3)スポーツ栄養マネジメント
 (4)栄養サポート
 (5)公認スポーツ栄養士

2 スポーツ栄養マネジメントの実践
 (1)マネジメントの目的
 (2)スクリーニング
 (3)個人サポート
 (4)マネジメントの評価
 (5)栄養ケア・マネジメントとの違い
 ◆コラム◆
  個人情報の管理

3 栄養補給
 (1)エネルギー消費量の考え方
 (2)栄養補給の考え方
 (3)栄養補給計画
 (4)栄養補給を考えるための知識
 ◆コラム◆
  監督からの最初の言葉

4 栄養教育
 (1)栄養教育項目の内容と特徴
 (2)栄養学の基礎教育
 (3)対象者別特徴

5 スタッフ連携
 (1)スポーツの現場
 (2)連携に際して注意したいこと
 ◆コラム◆
  失敗から学んだこと

6 栄養サポートのポイント
 (1)トレーニングと栄養補給
 (2)省エネな身体
 (3)超省エネな身体
 (4)糖質の摂取と身体の状態
 (5)女子選手の身体

7 ケーススタディ
 (1)対象別の事例
  事例(1)サッカー・プロ選手[男子]
  事例(2)陸上(中長距離)・実業団選手[女子]
  事例(3)野球・大学クラブ所属選手[男子]
  事例(4)水泳(競泳)・大学クラブ所属選手[男女]
  事例(5)陸上(中長距離)・大学クラブ所属選手[女子]
  事例(6)陸上(全種目)・高校クラブ所属選手[男女]
  事例(7)サッカー・高校クラブ所属選手[男子]
  事例(8)バスケットボール・高校クラブ所属選手[女子]
  事例(9)ゴルフ・高校クラブ所属選手[男女]
  事例(10)新体操・地域のクラブチ  ーム所属選手[女子小中学生]
  事例(11)ラグビー・大学クラブ所属選手[男子]
  事例(12)バレーボール・実業団クラブ所属選手[女子]

 (2)特徴ある事例に対する個人サポートのポイント
  事例(1)汗をかく量が多い選手
  事例(2)サプリメントをたくさん摂取している選手
  事例(3)食欲を抑えられない女子選手
  事例(4)故障中に痩せる選手
  事例(5)身体を大きくしようとたくさん食べる選手
  事例(6)試合前にたくさん食べる選手
  ◆コラム◆
   栄養サポート──ある1日のタイムスケジュール

8 スポーツ栄養士の現状と未来
 (1)スポーツの現場で働くにあたって
 (2)管理栄養士養成校の学生の方へ
 (3)スポーツ栄養士をめざす方へ
 (4)スポーツ栄養士の未来

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