鈴木志保子著、健康づくりと競技力向上のためのスポーツ栄養マネジメント、日本医療企画を紹介します。
http://www.jmp.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=678
スポーツ栄養の本は少なからずありますが、私が今まで読んだ中ではもっとも参考になる書籍でした。ちなみに鈴木志保子先生は日本スポーツ栄養研究会の会長です。以前、神奈川県立保健福祉大学に行ったときに、ご挨拶だけさせていただいたことがあります。
第2章にスポーツ栄養マネジメントの目的として以下の3つが紹介されています。
①リスクマネジメント
②身体活動が増加した状況での健康維持と疾病予防
③体力・競技力向上(健康の増進を含む)
これはリハ栄養マネジメントの目的にも応用することができます。以下のような感じでしょうか。
①低栄養や不適切な栄養管理下におけるリスクマネジメント
②機能訓練の時間と内容が増加した状況での適切な栄養管理
③筋力・筋肉量・体力向上
今までのリハ栄養では主に①について述べてきた気がします。今後は②、③についても述べていきたいと思います。栄養状態と栄養管理を考慮したリハ・機能訓練だけでなく、リハ・機能訓練を考慮した栄養管理にも重きを置きたいと考えます。
第6章の省エネな身体、超省エネな身体の考え方も参考になりました。基礎代謝を極力少なくすることで、少ないエネルギー摂取量で長時間の運動・スポーツに耐えうる身体になっているのですね。健康的ではありませんが、スポーツ選手のパフォーマンスを最大限発揮するという意味では、目的に適っていると感じます。リハ栄養では省エネな身体は不要ですが…。
リハ栄養に参考になる知見が多いだけでなく、スポーツ栄養の豊富な経験から得られた知見がまとまっており、スポーツ栄養の学習にもリハ栄養の学習にもなると思います。特に管理栄養士にご一読をお勧めします。
目次
1 スポーツ栄養マネジメントとは
(1)スポーツ栄養の歴史と現状
(2)スポーツ栄養学
(3)スポーツ栄養マネジメント
(4)栄養サポート
(5)公認スポーツ栄養士
2 スポーツ栄養マネジメントの実践
(1)マネジメントの目的
(2)スクリーニング
(3)個人サポート
(4)マネジメントの評価
(5)栄養ケア・マネジメントとの違い
◆コラム◆
個人情報の管理
3 栄養補給
(1)エネルギー消費量の考え方
(2)栄養補給の考え方
(3)栄養補給計画
(4)栄養補給を考えるための知識
◆コラム◆
監督からの最初の言葉
4 栄養教育
(1)栄養教育項目の内容と特徴
(2)栄養学の基礎教育
(3)対象者別特徴
5 スタッフ連携
(1)スポーツの現場
(2)連携に際して注意したいこと
◆コラム◆
失敗から学んだこと
6 栄養サポートのポイント
(1)トレーニングと栄養補給
(2)省エネな身体
(3)超省エネな身体
(4)糖質の摂取と身体の状態
(5)女子選手の身体
7 ケーススタディ
(1)対象別の事例
事例(1)サッカー・プロ選手[男子]
事例(2)陸上(中長距離)・実業団選手[女子]
事例(3)野球・大学クラブ所属選手[男子]
事例(4)水泳(競泳)・大学クラブ所属選手[男女]
事例(5)陸上(中長距離)・大学クラブ所属選手[女子]
事例(6)陸上(全種目)・高校クラブ所属選手[男女]
事例(7)サッカー・高校クラブ所属選手[男子]
事例(8)バスケットボール・高校クラブ所属選手[女子]
事例(9)ゴルフ・高校クラブ所属選手[男女]
事例(10)新体操・地域のクラブチ ーム所属選手[女子小中学生]
事例(11)ラグビー・大学クラブ所属選手[男子]
事例(12)バレーボール・実業団クラブ所属選手[女子]
(2)特徴ある事例に対する個人サポートのポイント
事例(1)汗をかく量が多い選手
事例(2)サプリメントをたくさん摂取している選手
事例(3)食欲を抑えられない女子選手
事例(4)故障中に痩せる選手
事例(5)身体を大きくしようとたくさん食べる選手
事例(6)試合前にたくさん食べる選手
◆コラム◆
栄養サポート──ある1日のタイムスケジュール
8 スポーツ栄養士の現状と未来
(1)スポーツの現場で働くにあたって
(2)管理栄養士養成校の学生の方へ
(3)スポーツ栄養士をめざす方へ
(4)スポーツ栄養士の未来
0 件のコメント:
コメントを投稿