2011年3月28日月曜日

概念モデルをつくる

松村 真司(著)、福原 俊一 (監修)、概念モデルをつくる (臨床家のための臨床研究デザイン塾テキスト)、NPO法人健康医療評価研究機構(iHope)を紹介します。

http://www.i-hope.jp/activities/publication/index.html#text

アマゾンで紹介されている内容紹介を以下に引用します。以下、引用です。

臨床研究を始めて間もない初学者によくある悩みとして,日常の臨床診療の場面で困っていることや知りたいテーマはあるのに,どうやって研究したらいいのかわからない,というものがあります。自分の知りたいテーマがどうすれば明確になるのか,どういう方向で調べればいいのか,何を変数にするのか…といったことが,あまりに漠然としていてわからないのです。 そこで活躍するのが「概念モデル」です。本書では概念モデルが担う役割,概念と研究デザインの関係,さらには実習を通して概念モデルの作成のポイントを学習します。 概念モデルを描くことで,研究課題は目に見える形になって現れます。見落としがちな交絡についても気づくことができ,あなたの研究を必ず助けてくれるでしょう。 この本が,臨床研究を志すすべての臨床家の皆様の足がかりとなることを願っています。

以上、引用です。

私は「プライマリ・ケア医のための臨床研究デザイン塾」に参加して初めて、概念モデルというものを知りました。私も一度、概念モデルの講義させていただく機会があり、そのときにようやく概念モデルの重要性を認識しました。

データ収集から臨床研究を始めてしまうと、自分が知りたいものが概念ではなく変数・数字だと勘違いしてしまいがちです。本当に知りたいのは概念間の関係(特に因果関係)ですので、データ収集から入ると、本当に知りたいものをそのデータで知ることができない可能性が高いです。

例えば栄養状態とリハの予後の関連を本当は知りたいのに、いきなりアルブミン値とBarthel Indexを調べてしまうことがあります(自験例ですが…)。栄養状態=アルブミン値、リハの予後=Barthel Indexでよいのでしょうか。他に栄養状態やリハの予後に関連する因子を検討しなくてよいのでしょうか。ダメですよね。

臨床研究の第一歩はリサーチクエスチョン(PECO)を明確にすることですが、その次に概念モデルを明確にすることで、自分が何を研究したいのか、何を知りたいのか、どのような研究をすればよいのかが見えてきます。飛ばしがちなステップですが、概念モデル作りを外すことはできません。

概念モデルについてわかりやすく執筆された書籍は、私が知る限りこの書籍だけです。看護研究の書籍の一部には概念モデルの記載もありますが、この書籍ほどわかりやすいとはいえません。リサーチクエスチョン(PECO)の重要性を理解したら、次に読む書籍としてお勧めします。

なおリサーチクエスチョン(PECO)の重要性がわからない方には、福原 俊一 (著)、リサーチ・クエスチョンの作り方、(臨床家のための臨床研究デザイン塾テキスト)、NPO法人健康医療評価研究機構(iHope)のほうを先にお勧めします。

目次
第1章:臨床研究における概念モデルの作成例
第2章:研究における「概念」
第3章:研究デザインと概念モデル
第4章:概念モデルの作成方法
実習:概念モデルを描いてみよう

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