小児のビタミンD欠乏に関する総説論文を紹介します。
Misra M, Pacaud D, Petryk A, et al: Vitamin D deficiency in children and its management: review of current knowledge and recommendations. Pediatrics 122:398-417, 2008
やや長い論文ですが、以下のHPで全文見ることができます。
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/reprint/122/2/398
小児のビタミンD欠乏では、くる病が問題となります。くる病では、O脚、X脚、肋骨の骨軟骨結合部の拡大(数珠状肋骨)、頭蓋ろう、成長障害:低身長、う歯の増加、筋肉痙攣、筋緊張低下などの症状を認めます。母乳栄養で栄養不良の場合に比較的生じやすいようです。治療はもちろんビタミンDの投与です。
この論文では小児の25ヒドロキシビタミンDの血清濃度について、高度欠乏5ng/ml以下、欠乏15ng/ml以下、不足15~20ng/ml、充足20~100ng/ml、過剰100ng/ml以上、中毒150ng/mlという基準を提案しています。
成人では25ヒドロキシビタミンDの血清濃度について、欠乏20ng/ml以下、不足21~29ng/ml、充足30ng/ml以上、もしくは欠乏10ng/ml以下、不足10~30ng/ml、充足30ng/ml以上という基準がありますが、いずれにしても確立された基準はないのが現状です。
25ヒドロキシビタミンDの血清濃度が10ng/ml以下であればビタミンDを補充すべきかと思いますが、10~20ng/mlで無症状の場合には補充しなくてもよいのではと私は感じています。欠乏症状が出ていれば別ですが。
ビタミンD補充の治療方針には賛否両論があるかもしれませんが、25ヒドロキシビタミンDの測定が保険診療に含まれていないのはいずれにせよ、本当に問題だと考えます。
Abstract
Given the recent spate of reports of vitamin D deficiency, there is a need to reexamine our understanding of natural and other sources of vitamin D, as well as mechanisms whereby vitamin D synthesis and intake can be optimized. This state of-the-art report from the Drug and Therapeutics Committee of the Lawson Wilkins Pediatric Endocrine Society was aimed to perform this task and also reviews recommendations for sun exposure and vitamin D intake and possible caveats associated with these recommendations.
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